50代60代で総入れ歯にしたい方へ|歯が1本でも残せるならテレスコープ義歯で解決

50代60代で総入れ歯にしたい方へ|歯が1本でも残せるならテレスコープ義歯で解決

50代60代で総入れ歯にしたいと考えている方で、歯が1本でも残せるなら、ドイツ式入れ歯と言われる「テレスコープ義歯」という治療方法があることを知っていただければと思います。

総入れ歯は、現状を変え自信を取り戻し笑顔につながる治療です。

 

しかし、歯を1本でも残せるかもしれない状態であれば、抜く前にドイツ式入れ歯と言われるテレスコープ義歯の「レジリエンツテレスコープ」をお勧めします。

総入れ歯よりも入れ歯が動きづらく、ご自身の歯を残すことで噛んだ感覚を残すことができ見た目も自然な総入れ歯に近い義歯の種類です。

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今回は、レジリエンツテレスコープの特徴やメリット、費用等、レジリエンツテレスコープの全てがわかるように解説しています。

この記事の内容は、

  1. 歯が残せるドイツ式入れ歯のレジリエンツテレスコープとは
  2. レジリエンツテレスコープの特徴
  3. レジリエンツテレスコープのメリット
  4. レジリエンツテレスコープの治療費用値段、保険適用可能か
  5. レジリエンツテレスコープに関するよくあるご質問
  6. レジリエンツテレスコープの実際の症例を解説
  7. まとめ

レジリエンツテレスコープとは

レジリエンツテレスコープは、ドイツ式入れ歯と言われるテレスコープ義歯の種類の1つでM. Hofmannによって考案された治療法です。

歯が少ない、歯が弱い患者さん向けに開発され、上顎または下顎の片側だけで5本以下の歯しかない場合でも、この治療法は有効です。

最低でも1本の歯があればレジリエンツテレスコープにすることができます。

 

これから歯を全て抜いて総入れ歯にした方の治療の選択肢の1つです。

 

レジリエンツテレスコープの説明用模型:内冠が入った状態:歯を失った本数が多くても歯が弱くても歯が1本でも残っていれば適用可能である

 

外冠を装着した状態:歯に負担をかけずに歯肉とのフィットを高め吸着現象という吸盤のように密着する

 

外冠を裏側から見た状態:将来、歯を全て失ったとしても簡単な修理でそのまま総義歯として使用することができる

 

正面から見た外冠を装着した状態:歯を失っていても審美性の高い人工の歯と歯肉で見た目を自然に整えることができる

 

一般的な入れ歯の場合、残っている歯に針金をひっかけて入れ歯を固定する方法がありますが、歯が少ない場合これではすぐに支えにしている歯が悪くなったり、抜けてしまいます。

 

従来の入れ歯である針金のクラスプ義歯:針金をかけた歯が、どんどん抜けてくることが少なくない

 

従来の入れ歯である針金のクラスプ義歯の見た目

 

その点レジリエンツテレスコープでは、残っている歯に負担をかけることなく、義歯をいれることができます。

 

これらの支えにした歯の10年生存予後は従来の入れ歯と比較し、レジリエンツテレスコープの方が生存予後は良好であったことは35年以上も前にErich Körber らによって報告されています。

 

また、見た目も自然で、義歯の内部に歯を残しているため、義歯の横揺れも抑えられ、ご自身の歯が全くない総入れ歯と比較し食事もしやすく、歯を通じて噛んだ感覚も残すことができます。

 

歯がボロボロの方で総入れ歯を検討している方や、

大型のブリッジがとれそうで、もうブリッジができない方で入れ歯を検討している方、

など様々な方に対応できる治療方法です。

 

治療前

 

治療前の上顎の噛む面からみた状態:全ての歯が虫歯や歯周病になっており、大部分を抜歯しなければならない状態であった

 

残せる歯を治療した後

 

内冠を装着した状態

 

レジリエンツテレスコープの装着後:内冠の上から外冠を装着している

 

レジリエンツテレスコープの装着した状態:見た目も自然である

 

歯が少なくて弱いからといって、全て抜歯をして総入れ歯やインプラントのオールオン4にする前に、検討したい治療方法の1つです。

 

レジリエンツテレスコープの特徴

レジリエンツテレスコープの特徴は、「吸盤」の力である吸着現象で歯茎に義歯本体を密着させて外れないようになります。

原理は総入れ歯と同じ仕組みです。

 

テレスコープ義歯でよく知られているコーヌステレスコープは、残っている歯につける内冠とその上から装着する外冠がぴったりとくっついています。

 

各種テレスコープ義歯の仕組み:歯につける内冠とその上から脱着する外冠の図

 

それに対して、レジリエンツテレスコープは、内冠の壁、軸面と言いますが、軸面と外冠の隙間は約0.03㎜、内冠の上部と外冠の内面は約0.4㎜の隙間を空けて仕上げています。

 

レジリエンツテレスコープの模式図 ※改変引用:小西 浩介 テレスコープ義歯の設計 歯科評論 2022(歯科医師向け書籍)

 

食事をするときや噛むときには、わずかなすき間があるおかげで歯には負担をかけません。

レジリエンツテレスコープという名前も、この特性からとっており、ドイツ語で「緩衝」つまり隙間という意味になります。

弱い歯でも1本でもあれば外冠の動きを制御できるため、食事の際にも動きが軽減されます。

したがって、本数が少なくて歯が弱いから全部抜いて総義歯(総入れ歯)にするよりは、1本でも歯を残すことで噛んだ感覚が脳に伝達されるため総入れ歯よりも噛み心地は良くなります。

 

レジリエンツテレスコープのメリット

レジリエンツテレスコープのメリットですが、

・全ての歯に内冠を装着するため、虫歯や歯周病に罹患しにくくできる

・全体を治すことで噛み合わせを治すことができるため、噛みやすくなり、歯への負担が軽減される

・ブリッジのように歯どうしを直接固定していないので、清掃もいきとどきやすく、最悪抜歯の際に対処ができ、簡単な修理で使用継続が可能

があげられます。

 

複数本のインプラントを埋め込む治療は、本数が多くなればなるほど身体への負担がおおきくなり、場合により不具合が出やすくなります。

 

その点レジリエンツテレスコープはインプラントは必要なくインプラントのような外科手術はなく、自分の歯も残すことができるというのがメリットとなります。

 

レジリエンツテレスコープの最大のメリットは、少ない歯が今後全て抜けてしまっても吸着作用で歯茎に引っ付いていることから、一から作り直す必要はなく、内冠の歯があった外冠の凹みを埋めてそのまま総入れ歯として使用できることです。

 

レジリエンツテレスコープの内面:歯があるとことの内冠の受け口は将来歯が抜歯に至っても穴を埋める簡単な修理でそのまま総入れ歯として使用できる。

 

そのため、歯が少なく歯が弱い方でも安心していただくことができます。

50代60代で歯がボロボロで総入れ歯を検討されている方にとっては、将来を見据えた治療となりますのでメリットが多い治療方法となります。

 

 

レジリエンツテレスコープの治療費用値段、保険適用可能か

テレスコープ義歯に関連する治療は、保険適用はできません。

すべて保険外診療(自由診療)となります。

したがって、テレスコープ義歯が入るまでに必要な虫歯治療や歯周病治療から噛み合わせ治療に必要な仮歯、仮義歯も全て保険外診療(自由診療)となるため必要な治療費を合算のため高額となります。

 

当院ではテレスコープ義歯の場合は、これらの治療を含んだ治療費として約200万〜300万円がかかります(医療費控除の対象)。

レジリエンツテレスコープの治療費用は、制作費も含めた全てをパック治療とし、231万円(税込)となります。

歯を残さず、歯が全てない状態は総入れ歯(総義歯)となりますので、治療費はテレスコープ義歯のように治療費、仮義歯を含めたパック治療費として132万円(税込)となります。

※当院では保険内治療の総入れ歯や部分入れ歯はおすすめしておりません。保険内治療では、材質、治療方法、入れ歯や噛み合わせの精度、見た目等、制約や限界があると考えています。したがって、保険内治療で総入れ歯や部分入れ歯をお考えの場合は、まずは他院でご相談いただければと思います。

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レジリエンツテレスコープに関するよくあるご質問

Q: 総入れ歯とインプラント、レジリエンツテレスコープのどれがいいですか?

 

A: どれがいいということではありません。患者さんのお口の中の状態によって異なります。

また、患者さんの希望や治療費用の兼ね合いもあると思いますので、よくご相談して決めていければと思います。

もし満足できず治療を変更できるという点で考えれば、レジリエンツテレスコープ→総入れ歯→オールオン4などのインプラントの順に検討するという視点も1つだと思います。

当院では、オールオン4も行っておりますので、どれにしようか迷っている時点でもご相談ください。

 

 

Q: テレスコープ義歯は長持ちますか?歯を抜いたら作り変えますか?

 

A:テレスコープ義歯は歯を抜いても簡単な修理で継続した使用が可能です。

その場合、簡単な修理で済みますので義歯修理(簡単)は7,700円です。

レジリエンツテレスコープの場合、全ての歯を失ってもそのまま総入れ歯として使用できますので作り変える必要はありません。

将来歯肉が痩せてしまった場合でも歯肉に相当する義歯の部分を修理し、継続した使用が可能です。

 

 

Q: 歯がない期間はどうすれば良いですか?

 

A:治療開始1回目には、歯を抜いたり、歯周病の治療をする前に型取りをし上下の仮義歯を用意しておきます。

治療開始2回目に残せない歯を抜歯して、残せる歯を歯周病の治療を行い用意しておいた仮義歯を装着します。

そのため、歯がない期間は作らないようにしていますのでご安心ください。

それらの治療費はテレスコープ義歯の費用に入っています。

 

 

Q: 重度歯周病でも治療はできますか?

A:全体に歯周病に罹患している場合、噛み合わせから治療しなければ改善しないことは多々あります。

そのような場合は仮義歯から一気に噛み合わせを直し、それから歯周病の治療をするようにしています。

レジリエンツテレスコープは、弱くても残った歯には負荷をあまりかけず、しかし歯があることで義歯が安定し噛みやすくなります。

まずは悪い歯を抜く前に、抜いた後はどうするのか、他の歯も含めてどうするのかという治療前の診断と治療計画の策定が大変重要と言えます。

 

 

レジリエンツテレスコープの実際の症例を解説

60代女性で、歯がどんどん抜けてきて食事がとれない、できれば歯を残して見た目もきれいにしてほしいという患者さんの例・上顎保険外総義歯、下顎レジリエンツテレスコープ症例です。

 

治療の概要

治療前

 

治療前

 

主訴は歯が抜けてきて食事がとれない、総入れ歯も検討しているができるなら自分の歯を残して見た目もきれいにしてほしい、費用も心配なので相談したい、という内容でした。

すべての歯が重度の歯周病に罹患しており、歯がないところも多数確認できます。

 

このような患者さんは全ての歯を抜いて上下総入れ歯になるのではないか、そうなると生活できるのかと心配されている方も少なくありません。

このような症例では、噛み合わせが悪くなっているため噛み合わせを整えない限り、歯周病の治療ばかりしても改善は見込まれません。

 

歯周病の既往がある場合は、インプラントを使用する場合、再度インプラントが歯周病に罹患する可能性やリスクも踏まえて治療計画を相談して決めていきます。

 

精密検査の結果を踏まえて患者さんと相談した結果、上顎はすべて抜歯で保険外総義歯、下顎は2本は残せる可能性があったためレジリエンツテレスコープを選択し治療を開始します。

下の歯の本数は2本であるため、負荷をかけにくいようにコーヌステレスコープではなく、レジリエンツテレスコープが向いている症例です。

 

この症例のように、歯周病で歯槽骨が退縮し、歯が長くなっている状態は、多くの場合、骨に埋まっている歯根の長さよりも、埋まっていない部分の歯の長さが長くなってしまっています。

 

治療前

 

このような状態では、力学的に歯周病は完治しないため、歯の長さを短くして歯根にかかる重心を低くします。これは医学的に行う方法で歯冠歯根比の改善と言います。

 

内冠を装着する前:歯周病が進行した場合、歯を少し小さくし重心を低くすることで歯を残すことができる

 

仮義歯装着後は仮義歯の調整、歯周病の治療を継続し、抜歯した歯肉の治癒を待ちます。その後、最終的な型取りを行なっていき最終の義歯を完成させます。

 

内冠を装着した状態

 

上顎は総義歯、下顎はレジリエンツテレスコープの外冠を装着した状態

 

治療後:見た目も自然である

 

食事も取れるようになり、見た目も自然で自身の歯を残すことができ満足していただいた症例です。

当院では、総入れ歯であってもレジリエンツテレスコープでも、仮義歯を用意するため、これ以上歯がない期間を作らないため、患者さんが生活に困ることなく治療を終えることができます。

 

治療費用・治療期間

治療費用:治療費・仮歯・仮義歯込み上顎保険外総義歯132万円、下顎レジリエンツテレスコープ231万円(税込)

治療期間:約10か月(前半約6か月は1~2週に1度、後半約4か月間は1月に1回の来院頻度)

※治療費用や種類は治療当時の記載であるため、現在は変更になっている可能せがあります。

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治療のリスク

・人工的な歯であるため慣れが必要です

・定期的なメンテナンス(3~6か月に一度)が必要です

 

まとめ

今回は総入れ歯にしたい方にむけて、レジリエンツテレスコープを中心に解説しました。

歯を1本でも残せる場合、テレスコープ義歯という治療方法を知っていただけたと思います。

とはいえ、やはり歯を全て抜いて総入れ歯にしたい方でも、当院では見た目も自然で生活に送ることができる総入れ歯治療を受けることができますのでご安心ください。

歯を全て抜いて総入れ歯、オールオン4などのインプラント、歯を残してレジリエンツテレスコープ、どの治療もメリット、デメリット、費用が異なりますので、まずはお悩みの場合はご相談ください。

【関連記事】50代60代歯がボロボロの治療方法、費用の全てを解説

 

当院では、テレスコープ義歯以外にも様々な入れ歯やインプラント治療などの治療も患者さんの希望にお応えして治療することもできます。

ご自身に近い状態が症例集にいずれかに該当すると思いますので、症例集もご確認ください。

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院長 小西 浩介

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